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介護とは

起源

今となってはすっかり一般的に知られるようになった介護という存在ですが、これはいつ頃から存在しているものだったのでしょうか?
人間にとって、自分の親や子供を慈しむというのは当然のこととして行われてきており、家庭における介護というのは起源を辿ることは難しいでしょう。
それでは、公共的な存在として介護が語られるようになったのはいつ頃なのかについて考えてみましょう。
>>古代から中世【介護の歴史】

日本における介護の歴史は、はるか昔、飛鳥の時代にまで辿ることができると言われています。
厩戸皇子(いわゆる聖徳太子)が、子供や老人の介護を行う四箇院という施設を作ったという記録が残っており、これが日本の史実における記録上初めての介護施設です。
細かい内容についてまでは残っていないものの、この時点で「社会」で介護を行うという考え方が根付いていたことが伺えます。

奈良時代になると、さらに制度がしっかりとしたものへと変わっていきます。
この時代の律令には養老律令というものが存在しており、60歳以上の高齢者に対して介護者を付けるという決まりが作られてきました。
ただ、この時の介護は社会介護ではなく、家庭介護が中心となっていたと考えられます。
ただし、孤児や孤老のように、補助をしてくれる家族が居ない場合については地域によって扶助をするように、という決まりが定められていました。

ここから、長い間家庭介護の時代が続いていきます。
状況が変わることになったのは近世、すなわち江戸時代のことです。
江戸時代になると社会がより高度なものへと変わっていき、福祉というものに対する考え方がより広がることになってきました。
医学や薬学の発展によって長寿の人も多くなり、老年期を過ごす人が多くなったというのも重要なポイントとなっています。

老年期にも第二の人生を楽しむ、という考え方が生まれたのがこの時期でした。
ここから現在の介護へと繋がる思想が生まれてきたと言えます。

さらに明治時代に入り、近代化した介護の環境が作られるようになってきました。
この時代になると、家族が常に同じ家で暮らすのではなくなってきており、「敬して遠ざける」という考え方が生まれるようになってきます。
老年者が尊敬する対象であることは同じであるものの、養護しなければならない対象として見られるようになってきました。

時を同じくして、社会の近代化によって女性が家庭に入る専業主婦が登場します。
これ以前は介護は男性の仕事である、とされていたものが、ここで女性の仕事へと切り替わるようになってきました。
これについては、現在においてもまだまだ根強く残っている文化でしょう。
実際、介護職に就いている人は女性の方が多い状況です。

現代の介護

それでは、現代における介護とはどのようなものなのかについて改めて考えてみましょう。
現代においても、介護は原則として家族のなかで行うものである、ということは変わっていません。
しかしながら、介護施設が充実したことによって、必ず自分で介護を行わなければならない状況からは変わってきていることが言えるでしょう。

介護の本質は、高齢化や障害など、さまざまな問題を抱えている人であってもできるだけその人の意思を尊重した幸せな生活ができるようにすることにあります。

この「その人の意思を尊重する」というのが主に高齢者介護においては難しい問題です。
高齢になると、認知症などの問題によってその人の意思がわかりにくくなります。

勘違いされがちですが、認知症の人は確かに記憶力には衰えが発生しているものの、感情がないわけではないということです。
強い態度で当たれば、当然その人は怒ったり悲しんだりするでしょう。
こういったことをせずに、お互いが幸せな形で介護ができるようにすることこそが重要です。
食事、着替え、排泄など生活に必要なものを補助することも介護の一つです。
>>介助の種類と介護ベッドを使って負担を軽くするコツとは?│パラマウントベッドストア

また、混同されやすい要素として「看護」があります。
介護と看護というのは、実はその起源は同じであると考えられています。
ただ、現在においてはより医療よりの専門的なものを看護と呼ぶようになっているでしょう。
しかし、考えていただきたいのは「介護」だって専門的なものであるということです。

誰もが直面する問題でありながら、誰もが自然にできることではない、というのが介護が難しいものになっている原因です。
今後介護に向き合う人は、是非「自分が我慢すれば良い」と考えないようにしてください。
その時のために、プロの介護従事者がいるのです。

介護をする家族側に負担がかかりすぎることはあまり好ましくはありません。
負担がかかることで気持ちの余裕がなくなってしまうからです。
どんなに介護者のことを思っていても介護をするということは技術や知識が必要となります。

例えば服を着替えるのを手伝うといった日常的なことを一つとっても素人ではなかなかうまくいくことは難しいです。
毎日の生活のサポートとなることはプロの技術でスムーズになることができます。
介護者の存在は介護を受ける人の負担とその家族の負担をサポートしてあげることなのです。